記事一覧に戻る
セキュリティ

工事請負契約を電子化する際のセキュリティ要件とは?

作成: AI監修: 金井泰樹 2026年2月25日
工事請負契約を電子化する際のセキュリティ要件とは?

工事請負契約の電子化が進むなか、「セキュリティは大丈夫なのか」と不安を感じていませんか。建設業法では電子契約に対して3つの技術的基準が定められており、それぞれ具体的な対策が必要です。

本記事では、工事請負契約を電子化する際に求められるセキュリティ要件を、認定タイムスタンプ・暗号化・証跡管理の3つの軸で整理します。専門用語もかみ砕いて説明しますので、IT担当者がいない中小建設会社の方でも安心してお読みください。

建設業法が電子契約に求める3つの技術的基準

建設業法第19条第3項では、紙の契約書に代えて電磁的措置を講じることが認められています。ただし、建設業法施行規則第13条の4で定められた3つの技術的基準を満たす必要があります。

1つ目は「見読性」です。電子データの内容を、必要に応じて明瞭に表示・印刷できることを指します。たとえば、10年前に締結した工事請負契約書であっても、画面上で文字や図面が正しく読み取れる状態を維持しなければなりません。PDFのように長期保存に適した形式を選ぶことが基本です。

2つ目は「原本性」です。契約締結後に内容が改ざんされていないことを技術的に証明できる必要があります。これを実現するのが、後述する認定タイムスタンプやハッシュ値による検証の仕組みです。

3つ目は「本人性」です。契約書を作成した当事者が誰であるかを確認できることを求めています。電子署名やメール認証による本人確認が該当します。

国土交通省が公表している「建設業法令遵守ガイドライン」では、これら3つの基準を満たした電子契約サービスの利用が推奨されています。自社でシステムを構築するよりも、要件を満たしたサービスを選ぶほうが確実かつ低コストです。

なお、電子契約の基本的な仕組みや法的効力については、電子契約とは?中小企業のための完全ガイドで体系的にまとめていますので、あわせてご確認ください。

認定タイムスタンプが果たす役割と仕組み

「タイムスタンプ」と聞くと難しく感じるかもしれません。簡単に言えば、「その契約書がいつ存在し、その後変更されていない」ことを第三者が証明する仕組みです。

認定タイムスタンプは、日本データ通信協会が認定した時刻認証局(TSA:Time-Stamping Authority)から発行されます。「認定」の有無は重要で、認定を受けていないタイムスタンプでは法的な証明力が十分とは言えません。

具体的な仕組みを見てみましょう。まず、契約書のPDFファイルからSHA-256などのハッシュ関数を使って固定長の文字列(ハッシュ値)を生成します。次に、このハッシュ値だけを時刻認証局に送信します。契約書の中身そのものは送らないため、内容が外部に漏れる心配はありません。

時刻認証局は、受け取ったハッシュ値に正確な時刻情報と電子署名を付けた「タイムスタンプトークン」を返します。このトークンが「存在証明」と「完全性証明」の2つの役割を果たします。

  • 存在証明:その時刻に契約書が確かに存在したことの証明
  • 完全性証明:タイムスタンプ付与後に契約書が改ざんされていないことの証明

後日、契約書の真正性を確認する場合は、保存されている契約書から再度ハッシュ値を計算し、タイムスタンプトークン内のハッシュ値と比較します。両者が一致すれば改ざんなし、不一致であれば何らかの変更が加えられていると判断できます。

工事請負契約では、契約金額の変更や工期延長など、トラブルが発生しやすい場面があります。「契約書が後から書き換えられたのではないか」という疑いを防ぐために、認定タイムスタンプは非常に有効です。

暗号化とデータ保管の具体的な基準

工事請負契約書には、工事内容・請負代金・工期など機密性の高い情報が含まれます。適切な暗号化とデータ保管の体制が欠かせません。

通信経路の暗号化

契約書のアップロードや署名操作の際、通信経路が暗号化されていなければ、データが第三者に傍受される恐れがあります。現在の標準はTLS(Transport Layer Security)による暗号化です。ブラウザのアドレスバーに鍵マークが表示されるHTTPS接続がこれに該当します。

電子契約サービスを選ぶ際は、TLS 1.2以上に対応しているかを確認しましょう。古いバージョンのSSLやTLS 1.0には既知の脆弱性があり、安全とは言えません。

保管時の暗号化

通信だけでなく、サーバーに保管されている状態でもデータが暗号化されていることが重要です。これを「保管時暗号化(Encryption at Rest)」と呼びます。仮にサーバーへの不正アクセスがあっても、暗号化されたデータは解読できないため、情報漏洩のリスクを大幅に下げられます。

AWS S3のサーバーサイド暗号化(SSE)やAES-256暗号化など、クラウドサービスが提供する暗号化機能を活用している電子契約サービスを選ぶのが一般的です。

データ保管の基準

建設業法では、営業に関する図書の保管期間が定められています。特に重要な点として、工事請負契約書は工事完了後に一定期間保管する義務があります。電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)でも、電子取引データの保存要件が定められています。

電子契約サービスを選ぶ際は、以下のポイントを確認してください。

  • 契約書データのバックアップ体制はあるか
  • データセンターの所在地はどこか(国内が望ましい)
  • サービス終了時のデータ移行手段が用意されているか
  • 保管期間中のデータ可用性が保証されているか

証跡管理——「誰が・いつ・何をしたか」の記録

電子契約のセキュリティを支えるもう一つの柱が「証跡管理」です。紙の契約書では「いつ誰がその書類に触れたか」を正確に追跡するのは困難ですが、電子契約では操作ログを自動的に記録できます。

工事請負契約における証跡管理で記録すべき項目は、主に次の5つです。

  1. 操作日時:契約書の作成・送信・閲覧・署名の正確な日時
  2. 操作者:操作を行ったユーザーの識別情報
  3. 操作内容:どの契約書に対して何を行ったか
  4. アクセス元IP:操作が行われたネットワーク上の位置
  5. User-Agent:使用されたブラウザやOSの情報

こうした記録があると、万が一トラブルが発生した際にも「いつ・誰が・何をしたか」を客観的に証明できます。建設業では元請と下請のあいだで契約内容をめぐる見解の相違が起きることがあります。証跡管理は、そのようなときに事実関係を明確にする手段となります。

また、工事現場ではスマートフォンやタブレットから契約書を確認するケースも増えています。どの端末からアクセスされたかを記録に残すことも、セキュリティ上は見逃せないポイントです。

Simple Contractでは、契約書に対するすべての操作を監査ログとして自動記録しています。アクセス元IPやUser-Agentも併せて記録されるため、証跡管理の体制を自社で構築する手間がかかりません。

電子帳簿保存法との関係を押さえる

工事請負契約を電子化すると、建設業法だけでなく電子帳簿保存法への対応も必要になります。電子帳簿保存法では、電子取引データの保存に関して「真実性の確保」と「可視性の確保」を求めています。

真実性を確保する方法は、以下の4つのうちいずれかを満たすことです。

  1. 認定タイムスタンプが付された後に取引情報の授受を行う
  2. 取引情報の授受後、速やかに認定タイムスタンプを付与する
  3. 訂正・削除の履歴が残るシステムを使用する
  4. 訂正・削除ができないシステムを使用する

認定タイムスタンプに対応した電子契約サービスを利用していれば、上記の1番目または2番目の方法で真実性の要件を満たせます。

可視性の確保としては、取引年月日・取引先・金額で検索できることが求められます。建設業の場合、工事名称や工期でも検索できると実務上便利です。

なお、印紙税法(昭和42年法律第23号)では、紙の工事請負契約書に対して契約金額に応じた収入印紙の貼付が必要です。たとえば契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合、印紙税は2万円かかります。しかし、電子契約は「課税文書の作成」に該当しないため、印紙税が不要です。工事請負契約は金額が大きくなる傾向があるため、電子化による印紙税の節約効果は特に大きいと言えます。

中小建設会社がサービスを選ぶときのチェックリスト

ここまで解説してきたセキュリティ要件をもとに、電子契約サービスを選ぶ際のチェックポイントをまとめます。

  • 認定タイムスタンプ対応:日本データ通信協会の認定を受けた時刻認証局と連携しているか
  • 通信暗号化:TLS 1.2以上に対応しているか
  • 保管時暗号化:AES-256やSSEなどの暗号化でデータを保護しているか
  • 証跡管理:操作ログ(日時・操作者・IP・User-Agent)が自動記録されるか
  • 電子帳簿保存法対応:真実性の確保と可視性の確保(検索機能)を満たしているか
  • 建設業法の3基準:見読性・原本性・本人性の技術的基準を満たしているか
  • 長期保管:契約書データのバックアップとサービス終了時のデータ移行手段があるか

すべてを自社で判断するのが難しければ、サービス提供会社に「建設業法第19条第3項の技術的基準を満たしていますか」と直接確認するのが確実です。

Simple Contractは、立会人型電子署名のサービスとして、認定タイムスタンプの付与、通信・保管の暗号化、全操作の監査ログ記録に対応しています。相手方はメール内のURLから署名画面にアクセスするだけなので、下請業者にITの専門知識がなくてもスムーズに利用できます。月額費用も抑えた料金体系を用意しており、まず試してみたいという中小建設会社にも導入しやすい設計です。

工事請負契約の電子化は、印紙税の削減や業務効率化だけでなく、セキュリティの強化にもつながります。紙の契約書は紛失や劣化のリスクがありますが、適切なセキュリティ対策が施された電子契約であれば、長期間にわたって安全にデータを保管できます。

自社に合った電子契約サービスを選び、安心して工事請負契約のデジタル化を進めてください。

メルマガで最新情報をお届け

電子契約の基礎知識・活用ノウハウ・法改正情報などを配信

登録は無料です。いつでも配信解除できます。

作成

AI

監修

金井泰樹

電子契約についてもっと詳しく知りたい方へ

電子契約の仕組み、法的根拠、導入メリットまで体系的に理解できる完全ガイド

GET STARTED

契約は、シンプルでいい。

契約書の作成から署名依頼、保管まで。アカウント登録から最短30秒で契約書を送信できます。