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法律・コンプライアンス

重要事項説明の電子化って本当に大丈夫?

作成: AI監修: 金井泰樹 2026年2月21日
重要事項説明の電子化って本当に大丈夫?

取引先との契約前に行う重要事項説明。これまで紙の書面で行うのが当たり前でしたが、法改正によって電子化が進んでいます。「本当に電子でも法的に問題ないの?」「うちのような中小企業でも対応できる?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、重要事項説明の電子化に関する法的根拠から、電子署名の仕組み、紙と電子が混在する過渡期の管理方法まで、初めての方にもわかりやすく解説します。

重要事項説明の電子化はなぜ始まった?

重要事項説明とは、契約を結ぶ前に取引の重要なポイントを相手方に説明する手続きです。不動産取引では宅地建物取引業法の第35条で義務付けられていることから「35条書面」とも呼ばれています。

従来は紙の書面を用いた対面説明が原則でした。しかし、2022年5月の宅地建物取引業法改正によって、重要事項説明書の電子交付が正式に認められました。この改正は不動産業界にとどまらず、多くの業界で「書面の電子化」を後押しするきっかけとなっています。

電子化が推進された背景には、いくつかの社会的要因があります。

  • 新型コロナウイルスの流行でリモート対応が急務になった
  • デジタル庁の発足に伴い、行政手続きの電子化が加速した
  • 中小企業庁が推進するDX施策のなかで、書面のペーパーレス化が重点課題に位置づけられた
  • 電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)により、電子署名の法的効力が明確化されていた

つまり、法制度と社会環境の両面が整ったことで、重要事項説明の電子化は「やってもよい」から「積極的に進めるべき」というフェーズに移っているのです。

電子署名で重要事項説明は法的に有効?

「電子で説明して、本当に法的効力があるの?」という疑問は、多くの経営者が最初に感じるポイントです。結論から言えば、一定の要件を満たした電子署名は紙の署名や押印と同等の法的効力を持ちます。

その根拠は、電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)の第3条にあります。この条文では、本人による電子署名が行われた電子文書について「真正に成立したものと推定する」と定めています。紙の文書における印鑑の「二段の推定」と同じ考え方です。

電子署名が有効と認められるためには、主に以下の要件を満たす必要があります。

  • 署名者本人だけが行える措置であること(本人性の確認)
  • 署名後に文書が改ざんされていないことを検証できること(非改ざん性)
  • 相手方が電子交付に同意していること
  • 受信者が出力して書面を作成できる状態であること

不動産取引における重要事項説明書の電子交付では、上記に加えて「IT重説」と呼ばれるオンラインでの説明も認められています。テレビ会議等を使い、宅地建物取引士が取引士証を提示しながら説明を行う方法です。

ただし、すべての書面が無条件に電子化できるわけではありません。定期借家契約の事前説明書面など、電子化に別途要件が設けられているケースもあります。自社の業務で扱う書面がどの法律の適用を受けるか、あらかじめ確認しておくことが大切です。

紙と電子が混在する「過渡期」をどう乗り切る?

「すべてを一度に電子化するのは難しい」という声は、中小企業の現場では非常によく聞かれます。取引先が紙を希望するケース、社内の承認フローが紙前提で構築されているケースなど、完全電子化へのハードルは少なくありません。

実は、この「紙と電子が混在する過渡期」こそが最もトラブルが起きやすい時期です。同じ種類の契約書が紙と電子の両方で存在すると、管理が煩雑になり、検索性が落ち、期限の見落としリスクも高まります。

過渡期をスムーズに乗り切るために、以下のポイントを押さえましょう。

  • 契約台帳の一元化:紙・電子を問わず、すべての契約情報を一つの台帳で管理する。Excelでもクラウドツールでも構いませんが、「どこを見れば全体がわかるか」を明確にすることが重要です
  • 電子化する書面の優先順位づけ:頻度が高い書面、遠方の取引先と交わす書面から順に電子化していくと効果を実感しやすくなります
  • 社内ルールの明文化:「この種類の契約は電子」「この取引先は紙」といった仕分けルールを決め、担当者全員が迷わないようにします
  • 紙の書面もPDF化して保存:紙で受領した書面はスキャンしてPDFとして保管することで、電子契約と同じフォルダ構造で検索可能になります

契約管理全般のベストプラクティスについては、契約管理・ワークフロー完全ガイドでライフサイクル全体の視点から詳しく解説しています。ハイブリッド運用の設計にも参考になるはずです。

段階的に電子化を進める3つのステップ

完全電子化への移行は、一足飛びに進めるよりも段階的に取り組むほうがうまくいきます。以下の3ステップを参考にしてください。

ステップ1:現状の棚卸し

まず、自社で取り扱っている重要事項説明書や契約書の種類を一覧にします。それぞれについて「年間の発生件数」「紙でなければならない法的要件の有無」「取引先の電子対応状況」を整理しましょう。

この作業を行うだけで、意外と多くの書面がすぐに電子化できることに気づくはずです。経済産業省が公表しているDX推進に関する資料でも、中小企業は「まず現状把握から始めること」が推奨されています。

ステップ2:小さく始めて成功体験を作る

すべてを一度に切り替えるのではなく、まずは社内で完結する書面や、電子化に前向きな取引先との書面から始めます。たとえば以下のような書面は着手しやすい傾向にあります。

  • 秘密保持契約書(NDA)
  • 業務委託契約書
  • 見積書・発注書
  • 社内の稟議書・承認書類

Simple Contractのような立会人型電子契約サービスを利用すれば、相手方にアカウント登録を求めることなく、メールのURLから署名してもらえます。取引先の負担を最小限に抑えられるため、導入のハードルを下げやすい点がメリットです。

ステップ3:社内フローの再設計と定着化

電子化が一定数進んだら、承認フローや保管ルールを見直します。「紙ベースの承認ルートに電子契約を無理やり乗せる」のではなく、電子化を前提としたフローに再設計することで、業務効率が大きく向上します。

この段階では、契約台帳のクラウド移行やステータス管理の自動化にも取り組むと、さらに効果を実感できるでしょう。

電子化で期待できるコスト削減効果

重要事項説明や契約書の電子化は、業務効率だけでなくコスト面でも中小企業に恩恵をもたらします。具体的には以下のような費用削減が期待できます。

印紙税の削減

印紙税法では、課税文書に対して印紙税を課しています。しかし、電子契約は「文書」ではなく「電磁的記録」に該当するため、印紙税は課税されません。国税庁も、電子的に作成された契約書は印紙税の課税対象外であるとの見解を示しています。

たとえば、請負契約で契約金額が500万円の場合、紙の契約書には1通あたり2,000円の印紙税がかかります。年間で50件の契約を交わす企業であれば、印紙税だけで年間10万円の削減になります。

郵送・印刷コストの削減

紙の書面を送付する場合、印刷代、封筒代、郵送代がかかります。簡易書留を利用すれば1通あたり約400円前後です。電子化すればこれらの費用がゼロになります。

保管・管理コストの削減

紙の契約書は保管スペースを必要とします。法律で定められた保存期間(法人税法上は原則7年、場合によっては10年)にわたって安全に保管するには、書庫やキャビネットの費用、場合によっては外部倉庫の利用料も発生します。電子化すればクラウド上に保管でき、物理的なスペースが不要になります。

人件費・時間コストの削減

紙ベースの契約では、印刷、製本、押印、郵送、返送待ち、ファイリングと多くの手作業が発生します。1件の契約締結に数日から数週間かかることも珍しくありません。電子化すれば、これらの工程の大半が自動化され、契約締結までのリードタイムを大幅に短縮できます。

電子化を始めるときの注意点

メリットの多い電子化ですが、進める際にはいくつかの注意点があります。事前に把握しておくことで、トラブルを防ぐことができます。

相手方の同意が必要

重要事項説明書の電子交付には、相手方の事前同意が必要です。宅地建物取引業法のほか、各業法でも「書面の電子化には受領者の承諾を得ること」が求められています。同意の取得方法や記録の残し方についても、あらかじめ社内で手順を決めておきましょう。

電子帳簿保存法への対応

電子的に作成・受領した書面は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(電子帳簿保存法)に従って保存する必要があります。2024年1月からは電子取引データの電子保存が完全義務化されています。タイムスタンプの付与や検索要件など、保存に関する要件を確認しておくことが欠かせません。

社内のITリテラシーへの配慮

すべての従業員がデジタルツールに慣れているとは限りません。導入にあたっては、操作マニュアルの整備や研修の実施が重要です。操作が簡単なツールを選ぶことも、定着率を高めるポイントです。

セキュリティ対策の確認

電子化にあたっては、通信の暗号化(TLS)、データの暗号化保存、アクセス制御、監査ログの記録といったセキュリティ対策が十分に備わったサービスを選ぶことが大切です。契約書には個人情報や機密情報が含まれることが多いため、情報漏洩リスクへの備えは欠かせません。

業法ごとの要件確認

重要事項説明の電子化要件は、業種や業法によって異なります。不動産業なら宅地建物取引業法、建設業なら建設業法というように、自社が該当する法律で電子化が認められているか、認められている場合の要件は何かを個別に確認する必要があります。法務省やデジタル庁のWebサイトでは、各種書面の電子化対応状況が公表されています。

こうした注意点を踏まえたうえで、自社に合ったペースで電子化を進めていくことが、長期的に見て最も確実な方法です。過渡期を上手に管理しながら段階的に移行を進め、コスト削減と業務効率化の両方を手に入れましょう。

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作成

AI

監修

金井泰樹

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