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法律・コンプライアンス

介護施設の電子契約に法的効力はある?基礎から解説

作成: AI監修: 金井泰樹 2026年2月5日
介護施設の電子契約に法的効力はある?基礎から解説

「介護施設で電子契約を導入したいけれど、法的に問題ないのだろうか」

このような疑問を持つ介護施設の経営者や事務担当者は少なくありません。紙の契約書が当たり前だった介護業界でも、業務効率化やコスト削減の観点から電子契約への関心が高まっています。

結論から言えば、介護施設で使用する多くの契約書類は電子契約で締結可能であり、適切な方法で行えば紙の契約書と同等の法的効力を持ちます。ただし、介護業界ならではの注意点もあります。

この記事では、電子契約の法的効力の根拠から、介護施設で電子化できる書類・できない書類の区別、導入時のポイントまでを丁寧に解説します。

電子契約の法的効力はどこで担保されている?

電子契約の法的効力を理解するには、まず関連する法律を知ることが大切です。難しく感じるかもしれませんが、ポイントを押さえれば意外とシンプルです。

電子契約の根拠となる主な法律は「電子署名及び認証業務に関する法律」(電子署名法)です。この法律は2001年に施行され、電子署名が手書きの署名や押印と同等の法的効力を持つことを定めています。

電子署名法第3条では、電子署名が付された電子文書について「真正に成立したものと推定する」と規定しています。これは、紙の契約書に実印を押した場合と同じ効果があるということです。

また「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(e-文書法)も重要です。この法律により、法令で保存が義務付けられている書類の多くを電子データで保存できるようになりました。

つまり、電子契約は「法律で認められた正式な契約方法」なのです。介護施設だからといって特別扱いされるわけではなく、他の業種と同様に電子契約を活用できます。

ただし、すべての書類が電子化できるわけではありません。法令で「書面」や「押印」が明確に求められている書類については、個別に確認が必要です。

介護施設で電子契約が使える書類・使えない書類

介護施設では様々な契約書類を取り扱います。どの書類が電子化できるのか、具体的に見ていきましょう。

電子契約が使える主な書類

  • 介護サービス利用契約書
  • 重要事項説明書への同意書
  • 個人情報使用同意書
  • 業務委託契約書(清掃、給食、リネンなど)
  • 職員との雇用契約書
  • 物品購入契約書
  • 施設利用に関する各種同意書

これらの書類は、電子署名法の要件を満たす電子契約システムを使えば、紙と同等の法的効力を持って締結できます。

注意が必要な書類

一方で、行政への届出書類や指定申請書類など、自治体によって取り扱いが異なるものもあります。介護保険法に基づく指定申請や届出については、管轄の自治体に電子申請の可否を確認することをおすすめします。

また、利用者やご家族が高齢である場合、電子機器の操作に不慣れな方もいらっしゃいます。このような場合は、対面での説明と紙の契約書を併用するなど、柔軟な対応が求められます。電子契約を「強制」するのではなく、「選択肢の一つ」として提供する姿勢が大切です。

厚生労働省の通知でも、介護サービス事業者が利用者と交わす契約について、電磁的方法による対応が認められる旨が示されています。ただし、利用者の承諾を得ることが前提となります。

介護業界で電子契約を導入するメリット

介護施設が電子契約を導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。現場の実情に即して考えてみましょう。

1. 契約業務の時間短縮

新規利用者の受け入れ時には、契約書、重要事項説明書、各種同意書など、多くの書類に署名・押印をいただく必要があります。電子契約を導入すれば、事前にメールで書類を送付し、利用者やご家族が都合の良い時間に確認・署名できます。

対面での説明時間を短縮でき、その分を利用者へのケアに充てられます。

2. 書類の紛失・劣化リスクの解消

介護施設では、利用者一人につき多くの書類を長期間保管する必要があります。紙の書類は紛失や劣化のリスクがあり、保管スペースも必要です。

電子契約であれば、クラウド上で安全に保管され、必要な時にすぐに検索・閲覧できます。監査対応時にも、該当書類を素早く提示できるでしょう。

3. コスト削減

印刷代、用紙代、郵送費、保管費用など、紙の契約書には様々なコストがかかります。電子契約に切り替えることで、これらのコストを削減できます。

特に複数の事業所を運営している法人では、書類の郵送や保管にかかるコストは無視できません。電子化による削減効果は大きいでしょう。

4. 感染症対策

介護施設では感染症対策が重要です。電子契約であれば、書類の受け渡しによる接触機会を減らせます。コロナ禍を経て、非接触での契約手続きへのニーズは高まっています。

5. 職員の働き方改革

契約書類の準備、署名の確認、ファイリング、保管場所の管理など、紙の契約書に関わる事務作業は多岐にわたります。電子契約により、これらの作業負担を軽減できます。

介護業界は慢性的な人手不足が課題です。事務作業の効率化により、限られた人員をより有効に活用できます。

電子契約の法的効力を確保するためのポイント

電子契約を導入する際、法的効力を確保するために押さえておくべきポイントがあります。

本人確認の方法

電子契約で最も重要なのは「誰が署名したか」を証明することです。電子契約システムには主に2つの方式があります。

一つは「当事者型」と呼ばれる方式で、署名者本人が電子証明書を取得して署名します。本人性の証明力は高いですが、署名者が事前に電子証明書を取得する必要があり、手間がかかります。

もう一つは「立会人型」(事業者署名型)と呼ばれる方式です。電子契約サービス事業者が本人確認を行い、その確認に基づいて電子署名を付与します。署名者は電子証明書を持っていなくても、メールアドレスの認証などで本人確認が行われます。

介護施設の場合、利用者やご家族が電子証明書を持っていることは稀です。そのため、立会人型の電子契約サービスが現実的な選択肢となります。

タイムスタンプの重要性

電子契約では、いつ契約が締結されたかを証明する「タイムスタンプ」が重要です。タイムスタンプは、その時点で文書が存在していたこと、その後改ざんされていないことを証明します。

信頼できる第三者機関(時刻認証局)が発行するタイムスタンプを使用することで、契約締結日時の証明力が高まります。電子契約サービスを選ぶ際は、タイムスタンプ機能の有無を確認しましょう。

監査証跡(ログ)の保存

誰が、いつ、どのような操作を行ったかの記録(監査証跡)を残すことも重要です。契約書の閲覧、署名、ダウンロードなどの操作履歴が記録されていれば、万が一のトラブル時に証拠として活用できます。

Simple Contractなどの電子契約サービスでは、操作ログの記録、タイムスタンプの付与、署名者のIPアドレスやUser-Agent情報の記録が自動的に行われます。このような機能を持つサービスを選ぶことで、法的効力の担保がしやすくなります。

介護施設での電子契約導入ステップ

実際に電子契約を導入する際の流れを解説します。

ステップ1:電子化する書類の選定

まずは、どの書類から電子化するかを決めます。すべての書類を一度に電子化する必要はありません。

おすすめは、まず内部の書類(職員との雇用契約書、業者との業務委託契約書など)から始めることです。内部書類で運用に慣れてから、利用者向けの契約書類に広げていくとスムーズです。

ステップ2:電子契約サービスの選定

介護施設に適した電子契約サービスを選びます。選定のポイントは以下のとおりです。

  • 操作がシンプルで、ITに詳しくない職員でも使えること
  • 相手方(利用者やご家族)がアカウント登録なしで署名できること
  • 料金体系が明確で、施設の規模に合っていること
  • セキュリティ対策が十分であること
  • サポート体制が整っていること

立会人型の電子契約サービスであれば、署名する側はメールを受け取って署名するだけなので、高齢のご家族でも比較的対応しやすいでしょう。

ステップ3:運用ルールの策定

電子契約の運用ルールを決めます。誰が契約書を作成し、誰が送信するのか、署名完了後の保管はどうするのか、といった点を明確にしておきます。

また、電子契約を希望しない利用者への対応方法も決めておきましょう。紙と電子の併用運用は十分に可能です。

ステップ4:職員への研修

実際に電子契約システムを使う職員への研修を行います。操作方法だけでなく、利用者やご家族への説明の仕方も含めて研修すると効果的です。

「電子契約は法的に有効です」「紙の契約書と同じ効力があります」といった説明ができるよう、基礎知識を共有しておきましょう。

ステップ5:利用者・ご家族への案内

電子契約の導入を利用者やご家族に案内します。メリットを丁寧に説明しつつ、不安がある方には紙の契約書も選べることを伝えます。

案内文のサンプルを用意しておくと、各職員が統一した説明ができます。

よくある質問と回答

介護施設での電子契約について、よくある質問にお答えします。

Q. 認知症の利用者との契約は電子契約でできますか?

A. 認知症の方との契約は、電子・紙に関わらず、本人の判断能力に応じた対応が必要です。成年後見制度を利用している場合は後見人との契約になります。電子契約だから特別にできない、ということはありません。従来の紙の契約と同じ考え方で対応してください。

Q. ご家族がスマートフォンを持っていない場合は?

A. 電子契約の署名は、パソコンでも可能です。スマートフォンもパソコンもない場合は、紙の契約書で対応しましょう。電子契約はあくまで選択肢の一つです。

Q. 電子契約を拒否された場合、サービス提供を断れますか?

A. 電子契約を拒否されたことを理由にサービス提供を断ることは適切ではありません。紙の契約書による対応を用意しておくべきです。

Q. 監査で電子契約の書類を提示する場合はどうすればいいですか?

A. 電子契約システムから契約書のPDFをダウンロードして提示できます。多くのシステムでは、署名履歴や操作ログも含めた証跡付きのPDFを出力できます。事前に監査担当者に電子契約を使用している旨を伝えておくとスムーズです。

Q. 電子契約の保存期間は?

A. 介護サービスに関する記録の保存期間は、介護保険法施行規則により原則2年間(自治体によっては5年間)と定められています。電子契約で締結した書類も同様の期間、適切に保存する必要があります。クラウド型の電子契約サービスであれば、保存期間中は自動的にデータが保管されます。

介護施設における電子契約の導入は、法的にも実務的にも十分に可能です。大切なのは、利用者やご家族の状況に配慮しながら、無理のない形で進めることです。

まずは内部の契約書類から試してみて、徐々に範囲を広げていくことをおすすめします。電子契約は、介護現場の業務効率化と働き方改革に貢献する有効なツールとなるでしょう。

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作成

AI

監修

金井泰樹

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