記事一覧に戻る
電子契約の基礎知識

個人事業主に契約書は必要?作成のポイントと注意点

作成: AI監修: 金井泰樹 2026年2月10日
個人事業主に契約書は必要?作成のポイントと注意点

フリーランスや個人事業主として仕事を始めると、「契約書って本当に必要なの?」という疑問を持つ方は少なくありません。特に、長年の付き合いがある取引先や、知人からの紹介案件では、口頭での約束だけで仕事を進めてしまうケースも多いのではないでしょうか。

しかし、契約書がないことで思わぬトラブルに発展することがあります。報酬の未払い、納品物の認識違い、追加作業の費用負担など、契約書があれば防げた問題は数多く存在します。

本記事では、個人事業主が契約書について知っておくべき基礎知識から、実際の作成ポイント、電子契約の活用方法まで、丁寧に解説していきます。

個人事業主にとって契約書が重要な理由

日本の民法では、契約は当事者間の合意があれば成立するとされています。つまり、口頭での約束も法的には有効な契約となります。それでは、なぜ契約書を作成する必要があるのでしょうか。

最大の理由は「証拠としての役割」です。口頭での約束は、後から「言った」「言わない」の水掛け論になりがちです。特に個人事業主の場合、企業と比べて立場が弱くなりやすいため、自分の権利を守るための証拠が重要になります。

また、契約書を作成する過程で、取引条件を明確にできるというメリットもあります。報酬額、支払期日、納品物の仕様、著作権の帰属など、事前に細かい点まで確認することで、お互いの認識のズレを防ぐことができます。

さらに、契約書があることで取引の信頼性が高まります。きちんと契約書を交わすことは、プロフェッショナルとしての姿勢を示すことにもなります。取引先からの信頼獲得にもつながるでしょう。

中小企業庁の調査によると、取引上のトラブルを経験した中小企業・小規模事業者のうち、約4割が契約内容の認識違いが原因だったと報告しています。契約書で取引条件を明文化しておくことの重要性がわかる数字です。

個人事業主がよく使う契約書の種類

個人事業主が事業を行う上で、よく使用される契約書にはいくつかの種類があります。自分の業種や取引内容に合わせて、適切な契約書を選ぶことが大切です。

業務委託契約書

フリーランスや個人事業主が最も多く使用する契約書です。クライアントから業務を受託する際に、業務内容、報酬、納期、責任範囲などを定めます。Webデザイン、ライティング、コンサルティングなど、幅広い業種で使用されます。

秘密保持契約書(NDA)

取引を通じて知り得た機密情報を第三者に漏らさないことを約束する契約書です。新規案件の相談段階で締結を求められることも多く、信頼関係を構築するための第一歩となります。

売買契約書

商品の売買を行う際に使用します。商品の仕様、数量、価格、引渡し条件、支払条件などを定めます。物販を行う個人事業主にとっては必須の契約書です。

賃貸借契約書

事務所や店舗を借りる際に使用します。賃料、敷金、契約期間、更新条件などが記載されます。事業用物件を借りる場合は、住居用とは異なる条件が設定されることが多いため、注意が必要です。

請負契約書

特定の仕事の完成を約束する契約書です。業務委託契約と似ていますが、請負契約は成果物の完成が目的となります。建設業やシステム開発などでよく使用されます。

契約書に必ず入れるべき項目

契約書を作成する際には、トラブルを防ぐために必要な項目を漏れなく記載することが重要です。以下に、個人事業主が契約書に必ず入れるべき基本項目を解説します。

当事者の情報

契約の当事者が誰なのかを明確にします。個人事業主の場合は、屋号だけでなく本名も記載しましょう。法人と契約する場合は、会社名、代表者名、所在地を記載します。

契約の目的と業務内容

何のための契約なのか、具体的にどのような業務を行うのかを明記します。「Webサイト制作」だけではなく、「トップページ、会社概要ページ、お問い合わせページの計3ページを制作」のように具体的に記載することで、後々の認識違いを防げます。

報酬と支払条件

報酬額、支払期日、支払方法を明確にします。源泉徴収の有無、振込手数料の負担者なども記載しておくとよいでしょう。分割払いの場合は、それぞれの支払時期と金額も明記します。

納期と納品方法

いつまでに、どのような形で納品するのかを定めます。納品物の形式(ファイル形式、納品媒体など)や、検収期間についても記載しておくと安心です。

著作権・知的財産権の取り扱い

制作物の著作権が誰に帰属するのかを明確にします。著作権の譲渡が必要な場合は、その範囲と条件を具体的に定めましょう。著作者人格権の扱いについても確認が必要です。

秘密保持義務

業務を通じて知り得た情報の取り扱いについて定めます。別途NDAを締結する場合でも、契約書内に基本的な秘密保持条項を入れておくことが一般的です。

契約解除の条件

どのような場合に契約を解除できるのか、解除時の報酬精算方法などを定めます。一方的な解除ができる条件や、事前通知期間についても記載しておきましょう。

損害賠償の範囲

万が一トラブルが発生した場合の損害賠償について定めます。個人事業主の場合、無制限の損害賠償責任を負うことはリスクが高いため、上限を設定することが重要です。

個人事業主が契約で注意すべきポイント

契約書を作成・締結する際には、いくつかの注意点があります。特に個人事業主は立場上不利になりやすいため、以下のポイントを押さえておきましょう。

一方的に不利な条件になっていないか確認する

大企業や発注元から提示された契約書は、相手側に有利な条件になっていることがあります。特に、著作権の一括譲渡、無制限の損害賠償責任、一方的な契約解除条項などには注意が必要です。

下請法では、親事業者が下請事業者に不当な条件を押し付けることを禁止しています。あまりにも不利な条件の場合は、交渉するか、場合によっては取引を見送ることも選択肢の一つです。

契約書のひな形をそのまま使わない

インターネット上には多くの契約書のひな形が公開されていますが、そのまま使用するのは危険です。業種や取引内容によって必要な条項は異なりますし、最新の法改正に対応していない可能性もあります。

ひな形は参考程度にとどめ、自分の取引内容に合わせてカスタマイズすることが大切です。不安な場合は、弁護士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

印紙税の要否を確認する

紙の契約書を作成する場合、契約内容や金額によっては収入印紙が必要になります。印紙税法では、課税文書を作成した場合に印紙税を納付する義務があります。

例えば、請負契約書の場合、契約金額が1万円以上であれば印紙税がかかります。金額に応じて200円から数十万円まで印紙税額が変わるため、国税庁のホームページなどで確認しておきましょう。

ちなみに、電子契約の場合は印紙税がかかりません。これは、印紙税法が「文書」を課税対象としており、電子データは文書に該当しないためです。コスト削減の観点からも、電子契約の活用を検討する価値があります。

契約書の保管期間を把握する

契約書は一定期間保管する義務があります。法人税法では、取引に関する書類を原則7年間保管することが求められています。個人事業主の場合も、確定申告に関係する書類として同様の保管期間が必要です。

紙の契約書は保管場所の確保が大変ですが、電子契約であればクラウド上で効率的に管理できます。検索性も高く、必要な時にすぐに参照できるメリットがあります。

電子契約を活用するメリット

近年、電子契約の普及が急速に進んでいます。2001年に施行された電子署名法により、一定の要件を満たす電子署名には、紙の署名・押印と同等の法的効力が認められています。個人事業主が電子契約を活用するメリットを見ていきましょう。

コスト削減

紙の契約書では、印刷費、郵送費、収入印紙代などのコストがかかります。電子契約であれば、これらのコストを大幅に削減できます。特に印紙税は契約金額によっては高額になるため、電子契約による節約効果は大きいといえます。

時間の短縮

紙の契約書は、郵送でのやり取りに数日から1週間程度かかることがあります。電子契約であれば、メールやクラウド上で即座にやり取りができ、契約締結までの時間を大幅に短縮できます。

保管・管理の効率化

電子契約はクラウド上で一元管理できるため、保管場所を確保する必要がありません。契約書の検索も容易で、過去の契約内容を素早く確認できます。契約期限のアラート機能などを活用すれば、更新漏れも防げます。

リモートワークとの相性

場所を選ばずに契約締結できるため、リモートワークとの相性が良好です。遠方のクライアントとの取引でも、スムーズに契約を進められます。

Simple Contractのような電子契約サービスを利用すれば、契約書の作成から送信、署名、保管までをオンラインで完結できます。個人事業主でも手軽に導入できる料金体系のサービスも増えており、契約業務の効率化に役立ちます。

契約トラブルを防ぐための心得

最後に、個人事業主が契約トラブルを防ぐために心がけておきたいポイントをまとめます。

着手前に必ず契約書を交わす

「まず作業を始めて、契約書は後から」というケースは意外と多いものです。しかし、これはトラブルの元です。必ず作業開始前に契約書を締結するようにしましょう。急ぎの案件でも、最低限の条件を記載した発注書や覚書を交わしておくことが大切です。

口頭での追加依頼も書面化する

契約締結後に追加の依頼があった場合も、必ず書面で確認を取りましょう。メールでのやり取りでも構いません。追加料金が発生する場合は、その旨も明確に伝えて合意を得ておくことが重要です。

不明点は事前に確認する

契約書の内容で不明な点があれば、署名・押印する前に必ず確認しましょう。「なんとなく」で契約を進めてしまうと、後からトラブルになる可能性があります。疑問点はすべて解消してから契約を締結することが大切です。

相手の信用を確認する

新規の取引先と契約する場合は、相手の信用を確認することも重要です。会社のホームページや登記情報、口コミなどを調べておくと安心です。支払い能力に不安がある場合は、前払いや着手金を設定することも検討しましょう。

専門家に相談する

重要な契約や高額な取引の場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。契約書のリーガルチェックを依頼することで、潜在的なリスクを事前に把握できます。

個人事業主にとって、契約書は自分のビジネスを守るための重要なツールです。面倒に感じることもあるかもしれませんが、適切な契約書を作成・管理することで、安心して事業に集中できる環境を整えることができます。電子契約サービスなども活用しながら、効率的な契約業務を実現していきましょう。

メルマガで最新情報をお届け

電子契約の基礎知識・活用ノウハウ・法改正情報などを配信

登録は無料です。いつでも配信解除できます。

作成

AI

監修

金井泰樹

電子契約についてもっと詳しく知りたい方へ

電子契約の仕組み、法的根拠、導入メリットまで体系的に理解できる完全ガイド

GET STARTED

契約は、シンプルでいい。

契約書の作成から署名依頼、保管まで。アカウント登録から最短30秒で契約書を送信できます。